アイリスオーヤマが、サッカー場の整備事業に進出することが25日、分かった。来月開幕するワールドカップ(W杯)ロシア大会や2020年東京五輪を控えてサッカー人気がさらに高まると想定し、同社の発光ダイオード(LED)照明や子会社の人工芝を組み合わせ、自治体などに売り込む。角田市の拠点施設に研究開発用のサッカー場を整備し、ピッチの耐久性などの実地試験を始めた。
【トップに聞く】海外展開さらに拡大 大山晃弘アイリスオーヤマ次期社長
子会社のアイリスソーコー(仙台市)は人工芝のゴルフ練習用マットで6割のシェアを持つ。同社は新たにサッカー場向けの「ロングパイル人工芝」を製造する。見た目が天然芝に近く、ラグビーや野球の各競技場でも使われる。
角田市の研究開発用のサッカー場は広さ約9000平方メートル。ロングパイル芝の長さはゴルフ練習用マットの倍の3センチで、選手のけが防止や膝への負担軽減のため、芝に砂とゴムチップを埋め込み、クッション性を高めた。
実地試験は宮城県サッカー協会に加盟するチームに使ってもらい、芝の状態の変化などを確認し、品質改善に生かす。
LED照明を使うことで電気代を7割削減。電圧も低いため自家発電の電源で点灯可能になり、インフラ工事などの初期投資額も大幅に抑えられるという。
アイリスは地盤工事以外の整備事業全般を担うほか、完成後のメンテナンス、補修も請け負う。
日本サッカー協会(東京)によると、17年のサッカー選手登録数は約91万5000人。07年比で約2万5000人増えたが、施設整備は追い付いていない。アイリスは全国の自治体や学校に売り込む。
大山健太郎社長は「幅広い商品を製造するアイリスだからできる事業。研究開発を続け、天然芝よりも安価で維持費のかからないサッカー場を各地に広めたい」と話した。