静岡県農林技術研究所伊豆農業研究センター(東伊豆町)が、赤色の発光ダイオード(LED)ランプを使った切り花用カーネーションの試験栽培に取り組んでいる。2017年度から始め、照射により害虫防除と発育改善の効果が確認された。伊豆半島東海岸など産地での実用化を目指し、「照射効果をさらに高めたい」という。
同センターによると、17年夏にハウスで複数品種の苗を「赤色」、波長が異なり人間の目に見えにくい「遠赤色」、「光無し」の3区域に分けて植え、生育状況を調べた。光源は夜間の一定時間点灯し、苗を照らした。
試験栽培の結果、秋から冬にかけて花が開き、赤色と遠赤色の区域は発育が早かった。花付きは良く、特に赤色は茎が細い品種も、固いしっかりとした切り花に育った。赤色ランプは植物の汁を吸う小型の害虫「アザミウマ類」を防ぎ、生産性と品質向上、農薬使用量の削減が期待されるという。
カーネーションの生産現場では発育を促し、害虫の「オオタバコガ」を防ぐ黄色ランプが広まり、消費電力が少ないLEDへの転換が進んでいる。一方、赤色は全国的に鉢物で成果が出始め、主力の切り花は研究が始まった段階という。
LEDランプの導入は栽培面積が広い生産現場では多額の費用が必要になり、農家の負担軽減が課題になる。同センターは「むら無く照らせば、生育に差が出ない。今後はランプの最適な設置間隔などを検証したい」としている。