スキー場運営大手のマックアース(兵庫県養父市)は、地域子会社を通じて運営するスキー場「スノークルーズ・オーンズ」(小樽市)のゲレンデのナイター照明を全面的に発光ダイオード(LED)照明に変更した。照明の電気代を年間500万円程度抑えられるという。全国的にも珍しく、スキー場での省エネ先進事例として注目を集めそうだ。
今シーズンの営業を23日に開始する。当初は午後10時まで、12月の全面オープン後は午後11時まで営業するナイター時間の長さが特徴だ。札幌から1時間以内と近く、仕事帰りでも利用できる点を売りに2016〜17年シーズンは約12万人が来場。利用者数は増加傾向にあるが、ナイターが長い分、照明の電気代負担も相応に大きかった。
運営会社のマックアースリゾート北海道(小樽市)によると同社グループ運営の全国32スキー場でナイター照明を全面的にLEDにしたのはオーンズが第1号。増岡康一ゼネラルマネージャーは「ナイター営業に力を入れる都市型スキー場であり電気代の低減効果は高いと考えた」と話す。
今回は約100基の照明を約2000万円かけて交換、約4年で投資回収可能と見込む。LEDは長寿命で、以後は毎年の電気代を抑えられる。
電力業界に詳しいコンサルタント業、あかりみらい(札幌市)の越智文雄社長も「場内施設からゲレンデまで、照明を全面的にLED化するスキー場は全国的にも珍しい」と話す。
ナイター照明のLED化が進まない一因には光の特性がある。水銀灯は放射状に光を放つのに対し、LEDは直線的に照らす。ただ入れ替えただけでは暗い場所ができてしまう。オーンズは照明の角度を地道に修正したり、照明を追加したりしてゲレンデ全体をLEDで照らせるようにした。
増岡氏は「オーンズでの実績を踏まえ、他のスキー場のLED化も促していきたい」と話す。ゲレンデ照明で一般的な水銀灯は、日本政府も署名した国際条約「水銀に関する水俣条約」に基づき20年にも製造禁止となる見通し。他の道内スキー場でも今後は見直しが必至で、LED化はさらに広がる可能性がある。